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2016年12月27日 19時40分 発行
有馬記念レース回顧
【レース回顧】
 予想通りマルターズアポジーが逃げる競馬となったが、実質は3馬身ほど離れた2番手にいたキタサンブラックが主導権を握る競馬となっていた。
 
ハロンタイム
6.8 - 11.3 - 12.0 - 11.9 - 12.1 - 13.4 - 12.8 - 12.9 - 11.8 - 11.7 - 12.1 - 11.7 - 12.1
 
 勝ったサトノダイヤモンドは、好スタートを決めて1周目のホームストレッチではちょうど中団の位置から脚を溜める競馬をしていた。大歓声にも驚くことなくピッタリと折り合いを付けて追走できていたが、1コーナーカーブ付近でペースが遅いと判断してか徐々に位置を押し上げていく競馬をした。ラップタイムが13.4秒の地点が残り1600mのハロン棒付近であるため、一気に脚を使ったようにも見えるが実はペースがガックリと落ちていることで無理なく位置を上げることが出来た。これはルメール騎手の好判断であったと同時に、折り合いに心配の無いサトノダイヤモンドだからこの隙を付くことが出来たのである。(一部の競馬記者関係者に外国人騎手にしか出来ないと書かれていたが、日本人騎手でもサトノダイヤモンドに乗っていればこういった大胆な競馬は出来るはずである。おkれは日本人騎手を卑下しすぎ。)
 位置を上げて3番手に付ける競馬になったことで、後方にいた馬はかなり厳しくなった。実質キタサンブラックが作り上げているペースを、キタサンブラックの直後にいるゴールドアクターと外から上がってきたサトノダイヤモンドで壁を作ることになる。13.4秒のラップの後に、本来なら13秒台のラップが2回ほど続くのであれば隙が生まれるのだが、12秒台後半にペースを上げられたので篩いに掛けられる形となった。力の無い馬はこの2ハロンで脱落していくし、もちろん無謀に位置を上げた馬も脚を使ってしまうので勝ち目は無くなるのである。この13.4 - 12.8 - 12.9の3ハロンで半分勝負が決まってしまったようなものであった。
 残り1000mを通過してから一気にペースが上がっているが、これはマルターズアポジーがペースを上げた分であるので、キタサンブラックが作り上げた実質のペースはもっと早い。そこへサトノノブレスが後方から突いてきたこともペースが上がった要因である。残り800mからはマルターズアポジーにピッタリと付く競馬となったことで、逃げたマルターズアポジーも厳しくなって脱落。残り400mからはキタサンブラックが先頭へ立ち、キタサンを目標にして直線へ向いた。直線では真っ直ぐ伸びてきたが粘るキタサンブラックには一旦突き放されたが、坂を上りきったところで末脚が炸裂して一気にクビ差だけ差し切り勝ちとなった。最後の直線も坂のある場面での伸びよりも、坂を上った地点の方が鋭い末脚を使っている。現状はまだパワーが付いていないので中山コースは苦手なのかもしれない。それでも今回の勝利は非常に価値のある勝利で、来年の古馬戦線ではサトノダイヤモンドを中心に回るのではないか。そんな予感をさせる素晴らしいレースであった。
 
 2着のキタサンブラックは、2番手の競馬ではあったが実質逃げているに等しい競馬となった。ただ違った点はジャパンカップの時より厳しい競馬を強いられていた点であろう。好スタートを決めて道中は2番手からの競馬となったが、2周目の2コーナーでサトノダイヤモンドが位置を3番手まで上げてきた。この地点ではペースがガクッと落ちているのだが、その次の1ハロンも引き続いてペースを落とす競馬が出来なくなってしまった。向こう正面では気分良く2番手を追走する競馬が出来ていたが、3コーナー入り口では早くもサトノノブレスが巻くり気味に位置を上げてキタサンブラックを突く競馬をしてきた。その時に、本来違う馬主ならサトノダイヤモンドの進路は閉じられるのだが、同じオーナーということもあり、サトノダイヤモンドの進路をキッチリと開けてのペースアップだったため、サトノダイヤモンドに良いアシストをされる形となった。その結果、ペースアップが残り1000mの地点となったことで脚を使わされる形となった。それでも手応えにはまだ余裕があり、すぐ直後にいたゴールドアクターよりは余裕があった。残り400mを通過した地点で先頭へ立ったが、後続の追い上げを力で捻じ伏せようと残り200mの地点で振り切ったかに見えたが、最後はクビ差だけサトノダイヤモンドに差し切られて2着に敗れた。今回のレースで敗れはしたが、馬単体だけで見るとキタサンブラックの方がまだ力は上である印象を受けた。今回の敗因は、濃霧による仕上げの難しさと相手にタッグで競馬をされた分の差がクビ差であったと見ている。逃げて結果を出すことが多いためかどうも本命に買い辛い馬ではあるのだが、来年もまだまだ一線級で活躍する馬だと見て良いだろう。
 
 3着のゴールドアクターは、キタサンブラックの隣枠だったこともあり徹底してマークする競馬になった。好スタートを決めてキタサンブラックを見る位置で2・3馬身ほど後ろを追走した。ジャパンカップの時は間にワンアンドオンリーがいたため、そこから見えない壁のような形になって仕掛けが遅れる展開となったが、今回は直後に付けることで仕掛けの遅れも無く自身のペースで追走できたと思う。2コーナーから向こう正面にかけてサトノダイヤモンドが並びかけてきたが、自身いる内ラチ沿いのポジションを上げることなくペースを守って追走できた。3コーナーの入り口で外からサトノノブレスがキタサンブラックを突く役割をしてくれたことで、内にいるゴールドアクターはその分末脚を溜めることに集中できた。4コーナーではキタサンブラックより先に仕掛ける形となって直線へ向く。直線では一度は並びかける所まで行ったが、残り200mを過ぎてから徐々に地力の差が出始めて離されていき、直後に控えていたサトノダイヤモンドにも差し切られた。着差こそ少なかったが上位2頭とは決定的な差がある3着ではあった。
 
 4着のヤマカツエースは、想定されたよりずっと後方の位置からの競馬となっていた。好スタートを決めたが鞍上が意識的に後方へ控える競馬をした。真っ先に内ラチ沿いに移動していくのがVTRでもみられたが、終始距離ロス無くレースを進めた。道中はアドマイヤデウスの真後ろに付ける形で折り合いを付ける。向こう正面から3コーナーに入る時に後方3番手の位置から徐々に位置を上げていくところで、前のアドマイヤデウスが少し下がり気味になり、結果として包まれる形となって上がることが出来なかった。そのためアドマイヤデウスの外へ持ち出し、4コーナーでは抜群の手応えのまま大外へ持ち出すかに見えた。直線に入って前は開いていたのでそのまま伸びてくると思われたが、前には外にいたサウンズオブアースと内に走っていたシュヴァルグランが急に閉めてきたことで、進路を内に切り替えるロスが合った。それでも内へ切り替えてからの脚は鋭く伸びて4着に突っ込んできた。そのまま真っ直ぐ走れていれば、上位3頭とはもっと際どい勝負になっていたと思えるだけに惜しい内容であった、来年はさらに飛躍の年になる印象を受ける好走であった。
 
 5着のミッキークイーンは、kの馬にとっては好スタートを決めて道中は馬群の中で折り合いを付ける競馬。後方から末脚を溜める競馬をすると思えたが前々で流れに乗る競馬をしていた。ホームストレッチでは中団から前に馬を置いて折り合いは付いていた。向こう正面ではマリアライトの外に付けて馬場の良いところを走りサトノダイヤモンドの直後に付ける。3コーナーから4コーナーにかけて外からシュヴァルグランが上がってきたが、無理せず内目に入れて4コーナーを距離ロス無く回る。直線ではキタサンブラックの直後から追い出しを開始したが、現状の力の差が出た印象で徐々に離されて4・5着争いとなった。ただ、正攻法の競馬をして大崩が無く掲示板を確保したことから、今年は無理せず使わなかったことが生きた印象を受けた。牝馬限定戦に戻ればまだまだ活躍できると見る。
 
 6着のシュヴァルグランは、まずまずのスタートを決めたが、あまり行き脚が付かなかった事もあり後方から脚を溜める競馬をした。道中は後方の外目をサトノダイヤモンドの後ろに付ける形で追走したが、サトノダイヤモンドが上がって行った2周目の1コーナーカーブでは付いて行かずに足を溜める競馬をした。終始外目を気分良く追走して脚を溜め、3コーナーから4コーナーにかけて一気に外からロングスパートをかけて進出しサトノダイヤモンドに並びかけたが、直線に入ってサトノダイヤモンドに突き放される形となった。それでも長距離馬らしくジワジワと伸びておりスタミナのあるところを見せる内容であった。結果論だが今回のレースは後方にいた馬に勝機は無かった。サトノダイヤモンドが一気に押し上げた場面で同じように付いていくことが出来ていれば、また展開が変わっていたかもしれないが、現状のこの馬の能力では、サトノダイヤモンドが押し上げた場面で一緒に行ってはもっと着順が悪かったと思う。福永騎手としてはあの場面での待ちは正解だったと思う。
 
 8着のサウンズオブアースは、好スタートを切って前々で競馬をすると思われたが、徐々に後方へ控える形となった。1周目のホームストレッチでは後方から脚を溜める競馬で、ミッキークイーンの真後ろにつける競馬。折り合いも付いて上手く流れに乗る競馬が出来ていたと思えたが、残り600m手前辺りで鞍上が一気にゴーサインを出し、4コーナーでは外目を捲くって行く態勢であったが直線では伸びなかった。結果的にポジションが後ろ過ぎた印象であるが、この馬自身は短期間で2度続けて好走できる馬ではないため、活力が既に残っていなかったのだろう。年齢的にもこのまま『最強の2勝馬』止まりになる可能性が出てきた。
 
 10着のマリアライトは、好スタートを切って道中は中団より前目の位置で競馬をしたが、スタートしてからずっと内にモタれ気味の形の競馬であった。本来は外目を追走する形で完歩の大きな走りをするかと思えたが、内にモタれて3コーナー過ぎで既に手応えが怪しくなっていた。4コーナーでは内を突く形となったように、これではこの馬の良さが出ない競馬の形であった。スムーズに外へ出せないままの競馬が敗因であるが、終始モタれたままだったのは加齢による疲れの蓄積であったのかもしれない。力の要る馬場であっただけにチャンスはあると思ったが、活力が残っていない状態であったのだろう。今後は繁殖牝馬として、自身を超える産駒が出てくることに期待したい。
          
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