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2019年12月25日 18時05分 発行
有馬記念レース回顧2019
【レース回顧】
 14着のアエロリットが逃げたペースは強烈なハイペースが刻まれた。無
謀にも近いペースで逃げる競馬をし、前半600mが推定35.1秒、10
00m通過の地点で推定58.4秒と、2500mを走るのであればハイペ
ースを上回る暴走に近いペースと言える。また12秒台に入った6ハロン目
以降に目を向けてみると、1つだけ11.7秒といったレースラップが目立
っているが、これらのラップの推移から言えば、1800mや2000mの
競馬をアエロリットはこの舞台で走ったとみている。これは、マイラーにあ
りがちではあるが、この有馬記念のスタート地点は外回りコースから3コー
ナーへ向かって走っていく。そのため、終始緩やかなカーブがかった所を走
っていくため、外枠に入ったアエロリットにとっては、先手を取りに行くの
は押して足を使わなければならず、元々マイラーということもあり完全に掛
かってしまって暴走気味になったと言えるだろう。

ハロンタイム
6.9 - 11.1 - 11.4 - 11.4 - 11.5 - 12.2 - 12.3 - 12.1 - 11.7 - 12.3 - 13.4 - 12.2 - 12.0


 勝ったリスグラシューは、スタートを決めて比較的早い段階で内ラチ沿い
をキープする競馬ができた。スタートして100m過ぎには既にインへピッ
タリと移動できていたが、これは枠の並びもそうだが、かなりラッキーな部
分もあった。それは内にいたフィエー半ばノーマークでリスグラシューは楽
の競馬をできていた。競馬においてマークされての競馬とノーマークでの競
馬では、かなり消耗度や位置取りの楽さは替わってくる。本来は強い馬を負
かす場合、2番人気の馬はマークする役目になことが多い。しかし、このレ
ースはドリームレースでもあり有馬記念である。どの馬も2番人気になる実
力馬揃いであり、地力で勝ち上がれるだけの能力を秘めた馬ばかりが出走し
ている。そのため、他の馬が2番人気の役割を担ってくれたことで、自分の
競馬に徹することができたのが最大の勝因である。リスグラシューはアーモ
ンドアイという絶対的な人気馬の存在が、彼女の真の実力を引き出す結果に
も繋がった。
 勝負所でもインをピッタリと回ってくる競馬であったが、各馬の手が動き
出した場面でもジッと手綱を抑えたままで末脚を溜めることに専念。また、
本来であればそろそろ外へ持ち出さなければならない場面でも、インをピッ
タリと回っていた。アーモンドアイが早めに仕掛けたことで、それをマーク
していたフィエールマンがアーモンドアイを負かしに行く。そこで流れも急
激に動き出したのだが、リスグラシューだけはアーモンドアイを負かしに行
く競馬には参加せず、1頭だけ自分の競馬に徹することにした。直線へ入る
寸前でようやく外へ持ち出したのだが、幸いだったのが、先に仕掛けた馬た
ちの馬群と、後方で待機していた馬たちの馬群に切れ目ができたことで、そ
の切れ目を横へ横断していくのが印象的であった。このように切れ目ができ
るのがわかっていたかのような騎乗ぶりであり、さすがレーン騎手ともいう
べきだろうか素馬らしい騎乗であった。直線へ向くとほかの馬が仕掛けて追
い出している中、まだリスグラシューは溜めたまま外からサートゥルナーリ
アに並びかけた。残り200mの地点でようやくゴーサインを出したとこと
で、一気に抜け出して後続との差はみるみる広がり結果5馬身差の圧勝とな
った。

 2着のサートゥルナーリアは、ポンと好スタートを決めたものの、ペース
が速くなることを察知してか後方へ下げていく競馬をした。普通であれば外
を回る競馬は大抵大きな不利に繋がるのだが、今回は想像以上に速い流れで
引っ張ったアエロリットの存在もあり、外よりも後ろにいたことの方が重要
なペースであった。そのため、掲示板で上位に来た5頭の内、フィエールマ
ンを除く4頭が後方で脚を溜めた馬か、内々で脚を溜めた馬が好走している。
精神的にも幼さを抱えた状態であり、なおかつ追い切りの段階で見せていた
不正駈足などから、どこか痛めている可能性もあったが、レースは実に落ち
着いて集会していた。後方で脚を溜めたことで、道中に無駄な消耗がなかっ
たことも幸いしたのだろう。勝負所での手ごたえは抜群で前を走るフィエー
ルマンを見ながらの競馬となり、先に動いたフィエールマンからワンテンポ
置いて仕掛けたことで、大外へ持ち出して一気に伸びてきた。競馬ぶりとし
ては100点の競馬であったと言って良い。
 ただ、それをはるかに上回る競馬をしたのが勝ち馬リスグラシューであっ
た。ただ、まだ3歳馬ということと、依然としてまだ若さを見せる段階であ
り、本格化は4歳になってからだろう。この世代はレベル的に疑問と言われ
ているが、それは違うとみている。たまたま上位で活躍する馬が、まだ完成
の低い馬ばかりだとしたら、これからが本番であると言って良いだろう。実
際、今回引退したリスグラシューは、紛れもなく5歳の今が一番強かった。
馬には個々によって完成度が違い、サートゥルナーリアも、後に語るワール
ドプレミアもこれからの馬である。

 3着のワールドプレミアは、スタート後に腹をくくった騎乗で最後方に位
置を下げる競馬をした。結果的にハイペースの流れとなったことで、後方に
いる馬は折り合いも付きやすくなり脚を溜めやすかっただろう。レース前は
イレ込みの激しい馬で、今回も首を上下にしてはいたが、これはいつものこ
とでもあり、レースではキッチリと折り合うことができている。最後方待機
となったがこれだけ早いペースになれば後方の方がより脚も溜まりやすい。
道中はキッチリと折り合い、前にシュヴァルグランを壁として追走し、気性
面の難しい面をパドックで見せていたのがウソのように落ち着いていた。勝
負所で徐々にエンジンをかけていき、それでも内ラチをピッタリ回ってリス
グラシューの直後を追走し、4コーナーでは一気に大外へ持ち出した。この
大外へ持ち出すのも大きく遠心力を使ってのコーナリングをしており、仕掛
けるまでジッと我慢の競馬をしていたことと、本来の速いペースも相まって
大外から末脚を伸ばすことができた。この競馬ぶりから言うと、やはり大き
くコーナーを回った方が末脚が切れるタイプでもあり、そういった意味では
本質的には中山コースよりは京都の方があっているとみる。まだまだ完成度
も低く、古馬になってから楽しみな馬であるが、今の状態でこのメンバーを
相手に好走できたことが何よりの自信となるだろう。来年が非常に楽しみと
なった。

 4着のフィエールマンは、スタートしてすぐに標的をアーモンドアイに切
り替えての競馬となった。素晴らしいのは池添騎手が内へ入れようとしたア
ーモンドアイをブロックした場面。ブロックすることでアーモンドアイに楽
に競馬をさせなかった。その後はアーモンドアイより前目で競馬をしていた
が、1周目のホームストレッチにて掛かり気味に上がっていくアーモンドア
イを前に壁を置く競馬で折り合いに専念した。勝負所でアーモンドアイが動
いたことによって、いち早く動き出したのがこの馬。これはもうアーモンド
アイさえ負かせばという形の競馬であり、実際にアーモンドアイが動いたこ
とでフィエールマンをはじめほとんどの馬が動いた。ただ、アーモンドアイ
を負かしに行くという大役を買って出たことで、相当な消耗があったのだと
考えられる。4コーナーから直線にかけてアーモンドアイを地力でねじ伏せ
に行ったまでで力尽きてしまった感があった。外からサートゥルナーリア・
リスグラシュー・ワールドプレミアと差される結果となったが、これはあく
まで展開のアヤだとみる。最も強い競馬をしているのはこの馬である。

 5着のキセキは、スタートで出遅れる形となった。本来であれば今回のレ
ースで2番手を担ったスティッフェリオの位置にいてもおかしくなかったが
、この出遅れたことで馬自身は功を奏したともいえる。殺人的に速いペース
になったことで、後方から末脚を溜めることにシフトし、鞍上も腹を括った
競馬ができた。久々に後方からの競馬となったが道中は上手く折り合いもつ
けて脚を溜める競馬をした。この馬もリスグラシューの後ろから内々をうま
く立ち回った競馬をした。勝負所では早目に外へ持ち出す形になり内ラチ沿
いを捨ててヴェロックスの真後ろへ。その後は残り600mで後方の馬が各
馬動いたことで外へ持ち出し、進路を確保しつつ4コーナーを回り直線へ向
く。早目にフィエールマンの後ろに回る競馬となったが、少しズブさを見せ
た面もありフィエールマンとは話される形になった。その間隙を見逃さなか
ったのがリスグラシューで、前を横切られる形となった。直線ではエンジン
がようやくかかり、一気に伸びてきたが5着までとなった。

 8着のヴェロックスは、好スタートを決めて流れに乗る競馬をしていたが
基本的に前半から超ハイペースとなったことで徐々に後方へ位置を下げる競
馬となった。勝負所でも反応が鈍く追い出してからもあまり伸びなかったこ
とを見ると、基本的には距離は2000m前後の方が良いのかもしれない。
なし崩しに足を使わされての敗戦は、まだ3歳馬のこの馬としては完成前と
いうこともあり厳しかったということだろう。この経験を糧に来年はG1取
りを目指してほしいものである。

 9着のアーモンドアイは、好スタートを決めてスッと控えようとした時に
内が開いているように見えた。私自身はそこで内へ入れていく競馬をするの
かと思ったものの、内に入れずに外を選択した。唯一の気掛かりだった場面
であるが、パトロールVを見る限りは、内へ入れられそうな場面で内にいた
フィエールマンにブロックされていた。そのためその瞬間だけが最も内に入
れられるチャンスであり、そのチャンスを逃した音で終始外を回らされる競
馬となった。これだけ早いペースになってしまうと、外をずっと回ってくる
のは明らかに不利になってしまい、勝ったリスグラシューなどは徹底的にイ
ンをロスなく回っている。少しの差で着順に大きく影響する現代競馬にとっ
て、唯一のチャンスを逃した最初の場面が敗因と言っても過言ではないだろ
う。終始外を回らされることになったため、前に壁を置くことができずに最
初のホームストレッチではかなり引っ掛かる競馬になっていた。1週前の4
コーナーまではフィエールマンの方が前を走っていたが、引っ掛かる競馬で
位置を押し上げる形となった。この位置を押し上げた地点でもアエロリット
が飛ばしていたため、本来はゆっくり走らなければならない場面でも早い脚
を使うことになりためることができなかった。

 10着のエタリオウは、内ラチピッタリと回る3列目の位置での競馬。前
があまりにも早すぎるペースで飛ばしていたが、この馬自身としては意外と
追走も楽にこなしていた印象がある。勝負所で各馬の手が動いていたものの
この馬自身としてはまだ動いてなかったが、外にアーモンドアイが来た時点
でゴーサイン。ただ、そこから仕掛けてもこれと言って動けずに馬群に飲ま
れる形となった。敗因としてはゴチャゴチャした流れの中に入ってしまった
もので、基本的には外を回す競馬の方があっていると思う。ただ、直線へ向
いてからもすぐにバテたわけではなく渋太く食らいつく姿勢は評価できる。

 12着のスワーヴリチャードは、エタリオウのすぐ外に位置取る競馬で前
後の位置で言えば申し分ない位置で競馬をしていた。ホームストレッチに入
って少しヨレる場面があったように、基本的には右回りは合っていないのだ
ろう。直線へ入っての追い比べでも右手前のまま走っている点からも、左回
りでこそ力を出し切れる馬である。入選後下馬したように、少し馬自身の足
元にモヤモヤした部分があったのかもしれないが、それはジャパンカップの
重馬場での激走の反動もいくらかあったとみる。

 13着のスティッフェリオは、あの早いペースの中で勝ちに行く競馬をし
た素晴らしい内容だった。そこから脚が伸びなかったのは、やはりペースが
あまりにも早過ぎたためであり、最後まで脚が続かなかったのが敗因と言え
る。それでも最後に勝ちに行く内容から来年の飛躍を予感させるものであっ
た。元々有馬記念はここまでべらぼうにペースが上がるようなレースではな
く、もっとスローで流れることの方が多い。レース内容からは例年の勝ち馬
のような動きを見せていた。内回りコースが良さそうなだけに春の大阪杯・
宝塚記念は警戒すべき一頭と言える。

 15着のスカーレットカラーは、元々スタミナ面では心配されていた馬で
あるが、今回はそれに輪をかけてペースが速くなった。そのため中団からレ
ースを運んでいたが、徐々についていけなくなって末脚を溜めることができ
なかった。ここで実力不足を言っても仕方がないが、馬体が絞れていたこと
はこの馬にとっては良かった。これをいい経験にできれば来年に繋がるとみ
る。
          
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