11月14日(土) 『福島競馬場 11R 福島記念』 ◆シャイニープリンス まずは先週の回顧。当欄で注目馬としたアルゼンチン共和国杯のゴールドアクターは見事1番人気に応えて勝利。着差以上に強さを感じさせる内容で、主戦の吉田隼人騎手も「ジャパンCに行きたい」とパートナーに全幅の信頼を寄せる。それでも、陣営曰く「まだこんなもんじゃない。さらに強くなるから」と未だ完成途上であることを強調。言葉通りの成長曲線を描いていったのなら、いったいどれだけの馬になるのか。次走の選択も含めてこの先が楽しみになってきた。 みやこSは伏兵ロワジャルダンが勝利。前走で1番人気を裏切り評価を落としていたが、3歳時には重賞連対歴のあるランウェイワルツと接戦を演じていた実力馬。勝っても不思議ないだけの下地は備えていたということか。2着カゼノコも見どころは十分。メンバー最速の上がり35秒5は3連勝でJDDを勝った頃の走りを彷彿させるもの。次に繋がる内容だったと言えるだろう。 土曜日の2重賞も。ファンタジーSは典型的なスローの前残りで、掲示板5頭のうち4頭が先行した馬で、例外は4着のワントゥワンくらい。5着までが0秒1差という決着でもあり、全体的にGIの前哨戦としては収穫の少ないレースとなってしまった。だが、前述のワントゥワンに関しては別。小柄な馬が夏場の休養でしっかりと馬体を増やし、展開不向きななか最後の脚色は際立っており、「GIでもやれる」という池添騎手の言葉に偽りはなさそうだ。京王杯2歳Sも展開の影響が大きかった前残り決着。しかし、勝ったボールライトニングは最後は流す余裕もあり、力量上位馬が展開にも恵まれ余裕残しで勝利した、といった印象。「2000mくらいまでなら大丈夫」という蛯名騎手のコメントもあり、暮れのGIでも有力候補に挙げられそうだ。 今週はエリザベス女王杯を含め平地で計4重賞。デイリー杯2歳S、武蔵野Sには続くGIで有力視される馬たちが登場。いずれも大一番に向けて見逃せないレースになりそうだ。そんななか、現状でGIには少々縁遠い馬が集うのがローカル福島のメーンレース・福島記念。GIと同日の裏開催とあって注目度はお世辞にも高いとは言えないが、そういったレースにこそお宝が埋まっているというのが馬券の真理。今週はこれを狙い撃ちしたい。 注目はシャイニープリンス。「歯がゆい競馬が続いている」と栗田師が言うように、近走は勝ち馬から大きく離されることはないものの、掲示板にあと一歩届かないとったレースが続いている。それも出遅れや直線で前が詰まるといった不利、不運にも見舞われている状態。そこで陣営のとった策は思い切った新境地の開拓。中距離路線への挑戦だ。自身はこれまでに2000m以上のレースの経験はなく、ここ一年半ほどはマイル戦しか走っていない。しかし、もともと折り合いに苦労するタイプではなく、小回りならば距離はもつとの判断なのだろう。実際、過去には福島芝1800mの重賞で掲示板確保の実績もあるし、血統的にも十分に守備範囲。トウケイヘイローのようにマイル路線から中距離に転向して覚醒するケースもあるだけに、ここは初距離で懐疑的な見方の多い今回こそが馬券的にも妙味ありとみる。