競馬TVトップ
[競馬専門] 無料メールマガジン配信スタンド!競馬TV
メルマガ検索 
2017年05月31日 18時50分 発行
日本ダービーのレース回顧part2
 4着のマイスタイルは、さすが横山典騎手としか言いようがない好騎乗で4着を確保した。また、弥生賞では超スローペースでの好走があったように、自分の型に嵌ればこのメンバーでも好走できるだけの能力があるということも証明した。他の先手を取りたいと宣言していたトラストやクリンチャーなどが競り掛けずにスンナリと先手を取れたことが大きかった。ただ、トラストにしてもクリンチャーにしても鞍上はまだまだ若くキャリアも腕もまだ未熟な部類と言える。一方の横山典騎手は大舞台の勝利をいくつも重ねた大ベテランであり、こういうレースでも雰囲気に飲まれずに自分の仕事ができる。馬ももちろん頑張ったが、横山典騎手の好判断での最善の騎乗が好結果に結び付いた。
 
 5着のアルアインは好位からの競馬をしたものの5着に敗れた。スタート直後はマイスタイルに並び掛ける競馬をしようとしていたが、外から上がっていったトラストがいたことで控える競馬をした。これだけスローで流れた中でトラストは突きに行かず、アルアインも遅い流れを見越して後続の脚を封じる作戦に切り替えたのだと見る。1コーナーまでは良かったと思えたが、ここからが皐月賞馬としてはあまり良い競馬はできていなかった。皆が皆、日本ダービーを勝ちたいから脚を溜める競馬をするのはわかるが、そとからレイデオロが上がっていった時も何もせずにただ、自分追い位置で馬を走らせていただけであった。外から次々と上がる競馬に対し、自然と位置を悪くする競馬であった。
 スローで流れたため馬自身も少し行く気を見せていたが、結局馬の邪魔をする形となってしまった。馬群の中から3コーナーで外へ持ち出し、4コーナーではブロックも甘くなり内のスワーヴリチャードへ進路を譲る形の競馬になってしまった。勝ちに行く競馬ではなく消極的な競馬になったのは、まだまだ若い松山騎手であった。いざ本番で極限の状態に立たされたことで、動かなければと思った時に体が動かず、頭の中ではわかったつもりであっても極度の緊張で動かなくなる。結局、馬の持ち味を出せないまま敗れた敗戦であった。
 
 6着のダンビュライトは、好スタートを決めたがマイスタイルの後方から脚を溜める競馬押した。やはりこれだけのスローペースだったことで道中は掛かり気味の追走となった。スローペースでわかっていても馬群で包まれる形となったことで動くに動けない位置となり、外から続々と上がっていく馬に対して何も抵抗できないポジションでの競馬になった。直線へ向いて伸びてきてはいるが、スローで前が有利の競馬になっては抵抗もできずに6着に敗れた。
 7着のペルシアンナイトは、向こう正面でレイデオロが上がっていった時に、一緒について3番手まで上がって行く競馬をした。元々2コーナーに入るまでにかなり折り合いを欠いている状態であったことから、レイデオロが上がって行ったことに乗じて、この馬自身も位置を押し上げる競馬をした。ただ、3番手へ位置取ると自然と折り合いは付いていたように見えた。ただ、この馬の場合はやはり根はマイラーなのか、レイデオロと一緒に上がったことの代償で脚を使ってしまったことが敗因であった。直線もこの馬なりに伸びてはいるが距離適正の差が出たためジリジリとなって7着に敗れた。
 8着のトラストは、結果的に2番手から積極的に前を突きに行く競馬をしなかった。これは2年前の桜花賞でレッツゴードンキが勝ったレースとよく似ている。自分もやはり少しでも良い成績を上げないから、槍玉にとはならずに2番手で折り合いを付ける競馬をした。結果として脚を溜めることができたから8着入着している。この馬がレースを壊した戦犯に上げている人は多いが、結果8着で賞金を稼いでいるのであるから大正解の騎乗だったのである。
 10着のサトノアーサーは、器用さがないのでこれだけのスローペースになった時点で勝機はなかった。途中で上がっていけるような馬ではないので、今回の敗戦は参考外のレースといって良い。また、結果として究極のギアチェンジレースとなったが、この馬にはそんな器用な脚はなく、エンジンの掛かりが遅い馬である。ギアチェンジが遅いこの馬には展開が向かないレースであった。
 
 11着のカデナは、このスローペースをジッと構えて後方からの競馬をした。ルメール騎手が動いたポイントでもジッと我慢をする競馬をしていた。福永騎手のこの判断は、このレースの単体だけで言えば間違っていたのかもしれない。しかし、我々は結果を見てから『このスローペースなんだから行けよ。』といえる訳であり、実際には動くのが正解なのか、待つのが正解なのかはその場その場ではわからない。ルメール騎手は長年の経験に裏打ちされた技術もあって成功したが、あのように動いては大抵は失敗になることが多い。
 個人的にはレースのセオリーとしては間違っていなかったと思っている。動かず直線に賭ける競馬をしたものの、前が止まらない展開となっては、後方から末脚を伸ばしても届かない。結局11着に大敗した訳だが、あのポイントで仮に動いていてもこの馬は勝てなかっただろう。途中で動いた経験がないこの馬が、あの場面で動いてピッタリと折り合えるとは思えない。折り合いはある程度騎手の技術に左右される部分もあるが、大半の馬は掛かってスタミナをロスしてしまう。また、行ってしまうと今回のダービーで勝てたとしても、それ以降がワンアンドオンリーなどのようにパッタリとダメになってしまうこともある。将来性を潰しかねないことにも繋がってしまう。そういった葛藤を考えると、控える競馬をしたことも正解であったと思いたい。
 
 先手を取ると思われ本命にした13着のクリンチャーであるが、残念ながらこの馬の能力を出し切れないまま後方に沈んだ形となった。スタートは上手く決めたと思ったが、押しても馬が行く気を見せていなかったし、何よりも藤岡佑介騎手もどことなく硬さが見られた騎乗であった。最初はよりが敗因かと思ったがどうも違う。おそらく馬自身も大舞台の雰囲気に飲まれる形となったのだろう。この敗戦は騎手を責めるのは簡単だが、単に騎手を責めるだけでは何も得られない。その先の何かを見つめないことには、いつまで経っても同じ過ちを繰り返すだけである。
 まず大きな敗因の一つに、藤岡佑介騎手自体がG1を勝っていないという経験の差が大きかった。我々、馬券を買う立場から言えば、ダービーも目黒記念も未勝利戦も、グレードの大きさこそあれ、基本的にはどのレースも同じようなスタンスで見ることができる。しかし、乗る側からの立場においての視点で言えば、G1を勝った事がある、あるいはダービーを勝った事があるナシで、大舞台での緊張感は我々の想像もつかないものである。
 皆さんも学生の時の経験を思い出して欲しいが、例えば小学生の時に全校朝礼で何かを言う時と、クラス会で何かを言う時に黒板の前で発表したと思うが、それぞれ経験があったと思う。当然ながら全校朝礼の方が緊張感半端なかったはずである。今回、私自身の予想の観点として、乗る立場の騎手における視点と言うものが予想の中から抜けていた。私自身が予想を外した最も大きな敗因であった。
 以前、日本ダービーはベテラン騎手しか勝てない時代が随分と長かったのだが、こういった小さな人間心理が影響を及ぼしていたと考えれば、その理由は何となく頷けてしまう。動画でも少し言ったと思うが、このクリンチャーを含めて出走してきた18頭全てが精鋭であった。13着といっても、非常にレベルの高い中での13着であり、ここで敗れたからといって見限るなんてとんどもないことである。実際に今、無尽蔵のスタミナを駆使して現役最強馬として君臨しているキタサンブラックですら、大舞台の雰囲気に飲まれて14着に大敗している。クリンチャーもまだまだ競走馬生活が始まったばかりであり、この先の活躍を期待したい。
          
無料購読  購読解除  
バックナンバー
2017年06月03日09時00分
2017年05月31日21時00分
2017年05月31日18時50分
2017年05月31日18時40分
2017年05月31日18時30分
2017年05月30日09時00分
2017年05月28日19時00分
2017年05月28日12時10分
2017年05月28日12時00分
2017年05月28日09時00分
最初へ  前へ 3 4 5 6 7 8 9 10 11 次へ  最後へ