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2017年05月31日 18時40分 発行
日本ダービーのレース回顧part1
【レース回顧】
動画による展開解説
https://youtu.be/MUvtnPmjF64
 
ハロンタイム
13.0 - 11.2 - 12.9 - 12.8 - 13.3 - 12.5 - 12.1 - 12.6 - 12.7 - 11.5 - 10.9 - 11.4
 
 勝ったレイデオロは、このスローペースの中で大博打をして打ち勝つ競馬をした。馬も良く頑張ったが、何より騎手の腕が光ったレースであったと思う。スタートは好スタートを決めたものの、折り合い面を重視して後方に控える競馬を選択。1コーナーまでに少し行きたがるところを見せてはいたが、ルメール騎手の手綱捌きで上手く折り合いを付けていたと思える。馬群の外目ではあったが、前にペルシアンナイトとウインブライトを置いて壁を作って折り合う競馬をしていた。とにかく遅い流れになったことでルメール騎手とレイデオロは、2コーナーを回って向こう正面の入り口に入った所で前のペルシアンナイトより外へ持ち出した。すると、一気に先頭まで躍り出る競馬をした。この間がちょうど4ハロン目と5ハロン目の位置に当たり、ペースとしては最も緩んだ地点であったが、馬自身を見ると結構行きたがっていたことで無理をさせずに行かせたのだと見る。
 この行かせたのは、ルメール騎手だからできたといっても過言ではない。動画でも少し説明をしたが、これだけの大舞台のこの場面で行かせるのは日本の騎手では絶対にしないだろう。それは競馬黎明期より馬主や厩舎との師弟関係を重視されてきた日本競馬サークルに由来する。日本の競馬は黎明期より、逃げてバテる事を大きく嫌う。逆に脚を溜めて余した場合は次に繋がるという教育をされてきている。大事な場面で前へ行く競馬をするのはとんでもないことと教えられてきた。その逆に海外の騎手は、脚を余す競馬を嫌う傾向にある。逃げてバテた方がヨシと評価されている。この競馬文化の違いが、ルメール・デムーロ騎手にマッチしていることもある。だから、たとえ日本騎手が行かなければと理解していても、行くことはできないのである。若手の場合は特に、仮に行って勝ったとしても次はないからである。騎乗の最終的判断は、年老いた古い時代のオーナーなのである。日本ジョッキーの騎乗技術が劣る訳ではなく、文化の違いがまだ競馬サークル自体に馴染んでいない結果といっていいだろう。
 1000m通過が63.2秒と、良馬場としては空前絶後のスローペースになったことで、前を走っている馬が断然有利な状況となった。あの場面で思い切って行ったルメール騎手もさすがであるが、これだけ遅いペースに落としたマイスタイル騎乗の横山典騎手もさすがと言える。レイデオロが上がった時に、ペルシアンナイトとアドミラブルも動いたものの、レイデオロを競り掛けるまでは行かずに後ろで待機。結果、マイスタイルのマイペースは依然進む形となり、残り600mまでずっとスローペースで進む形となった。完全な上がり勝負となった中で馬群は縦長になっているので、俄然先行しているレイデオロが有利な状況が作られた。いち早く先頭へ躍り出たが、道中は途中で脚を使ったにもかかわらず十分に脚を溜めることができた。直線に入り馬場の良いところを選んで走っていたのは先週と全く同じで、馬場のど真ん中を突き抜ける形で後続の追撃を抑えて一着で駆け抜けた。
 正直、これだけスローペースで進むと、実力云々を見分けるのは非常に困難である。ただ、今回いえることは、スローペースによってスタミナを問われるレースにならなかったことから、スピード能力の高い馬が有利になったと見ている。実際にレイデオロは、当初はマイラーなのかと思っていたほどで、これは今後徐々に解明されていくであろう。ただ、今回日本ダービーを勝ったと言う事実は紛れもなく本物であり、勝者を素直に讃えたいと思う。
 
 2着のスワーヴリチャードは、スタートは少し出負け気味となりあまり良くはなかった。ただ、枠順に恵まれていたこともあり、ダンビュライトのすぐ直後に付ける競馬で、1コーナーまでにそれほど脚を使うことはなく好ポジションをキープすることができた。1コーナーから2コーナーに掛けてラチ沿いをピッタリと回る競馬ができたが、結果的にこれだけスローペースに流れた訳であったことからスタミナのロスせずに脚を溜めることができた。ただ、これだけスローペースになったことで外からレイデオロが動いたが、自身は馬群の真ん中に入れている状況のため動けずにジッと我慢をする競馬になった。
 ようやく外へ動けたのは4コーナーに入る場面で、ずっと外にいたアルアインが壁になっていたが、4コーナーで外へ膨れたことでスペースができたので直線に入ってからは前が開いて後は追い出すだけの状況となった。今回のダービーはずっとスローペースで推移して、直線だけ爆発的な末脚を繰り出せる馬が勝機に近かった。残り1000mのラップが12.6 - 12.7 - 11.5 - 10.9 - 11.4と一気にギアチェンジした馬が勝ったレースであった。こういう展開で共同通信杯を勝っていただけに、この馬にとっては実力がある上で展開が向いた運もあった好走と言える。ただ、惜しかったのは想像以上にスローペースになり、前が有利になってしまったことだろう。
 
 3着のアドミラブルは、1番人気に押されたことが敗因になった印象がある。ポイントはやはりレイデオロが上がっていった場面だろう。向こう正面に入ってレイデオロは果敢に先手を取りに行った。道中が超スローペースになったことで一気に上がり、それに付いていく形でペルシアンナイトも掛かっていた事も踏まえて上がっていく競馬をした。さらにその後方にいたアドミラブルも上げる姿勢を見せたのだが、中団まで上がったところでストップを掛けた。結局、この場面が敗着となった訳である。
 ここからは想像の域は出ないが、仮にあの場面で上がっていけば勝っていたかといえば、おそらく勝てずに展開そのものが変わっていただろう。1番人気があの場面で上がっていくと、ほとんど全馬が動く競馬になるので展開もまた全く変わってくる。中団で止まる競馬をしたので、各ジョッキーの意識は前に集中せずに分散されてスローペースが守られた訳だが、あの場面で一緒にレイデオロと先手を取ると、それこそ残り1400mの地点から一気にペースが上がって、レイデオロも勝てなかったかもしれないと見る。
 1番人気の宿命であるが簡単に動けない立場であり、レースを生かすも殺すも1番人気次第である。結局スローペースのまま4コーナーでは大外を回らされる形となり、直線で末脚を伸ばすも3着までが精一杯であった。馬自身に器用さがない分、末脚を生かす競馬の展開にならないと厳しい面を見せた敗戦であった。

パート2へ続く
          
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